繚乱


 

(このままじゃ……) 既に成すがままにされている状況が、さらに悪化する可能性は高い。囚われたマーキュリーを彩る緑色の蔦は全身を彩り、頭の後ろから髪の中へと侵入した一本が黒い花のつぼみを擡げ、拘束している肉体を美しいオブジェに作り変えていた。
「ひっ!」
さらに蔦は器用にセーラースーツの隙間から入り込み、こじ開け、肌と生地の間を強引に押し広げながら侵入を開始した。
「い、やぁ……」
直接に肌の上を滑る蔦のおぞましい感触は筆舌し難いものだった。だが、そんな感触にも関わらずマーキュリーの身体は酷く高揚していく。蔦が食い込み、脈打ちながら肌を這う感触は背徳を伴う快感を与える。
「ぐっ……むぁ」
端正な顔を横断する蔦が、唇の両端に強引に食い込み、まるで口枷のように締め上げた。真一文字に下品な形にこじ開けられた清楚な口元から、飲み込むことの出来ない唾液が垂れ落ちる。
「へ、ぁ……はぁ、はひぃ」
口を開かせられたまま、悲鳴とも喜悦とも取れない無様なうめき声を発するセーラーマーキュリーは、身体をまさぐる蔦の感触から、思わず赤い舌を突き出した。
「はっぅ!」
蔦は徐々にマーキュリーの身体を覆っていく。それは無防備だった耳にも向けられていた。細い蔦の先端が耳をくすぐるように先端を滑り込ませると、ゆっくりとその穴に滑り込んでいく。