「いやっ! いやぁぁぁぁ!!」
 蜂人間達の生殖器のような針がヴィーナスを貫く。
「むぐぅ、ぉぁぁあああああっ!!」
 全身にまみれる蜂蜜と、口に、秘所にと突き刺される針。
「あぎ、ぎぁぁぁっぁあ!!」
 いつしかヴィーナスは泣き叫んでいた。背を向けているために詳しい状況がわからないマーズ。
 ヴィーナスはその胸から、秘所から自らの体液を噴射させていたのだ。
「大丈夫?! ヴィーナス! ヴィーナス!!」
 何度も仲間の名を叫ぶが、既に声は無い。ヴィーナスは自ら噴射させた愛液や母乳が糸となり、その自らが噴射させた糸によって繭となっていたのだ。
「返事をして! ヴィーナス!」
 だが、声は無い。ヴィーナスに群がっていた蜂人間達も、いつの間にかその姿を消しつつあった。
「何を、されたっていうのよ……」
 ともかく、この拘束をどうにかしなければならない。懸命の力を込めて、脱出を試みるが、強靭な粘着はマーズの力ではどうしようも無いほどに強い。
 ビリ、ビリビリィ
 何かが裂ける音が響く。静寂に包まれてから、まだほんの数分しか経っていない。そう、マーズの背後で繭となったヴィーナスが、勢い良く飛び出したのだ。ヴィーナスの形を残したままの繭を破り、何かの粘液に包まれたその姿は、先程まで自分達を襲ってきた蜂人間そのものであったのだ。それが、べちゃり、べちゃりと粘液の音を響かせて、ヨロヨロと覚束ない足取りで拘束されているマーズへと近付いて行く。
「な、何……え……」


 繭にされたことも、繭からの誕生も、一切知らないマーズ。反応が消え、どうなったのか安否を心配していた仲間。ヴィーナスの姿がそこにあった。だがその姿はマーズの良く知るものではなくなっていた。
「ヴィーナス……な、の?」
 恐る恐る、信じがたいものを見る表情でマーズがその蜂人間に尋ねる。
「うふぁ……」
 白痴のように声を発し、うっとりとマーズを見つめる蜂人間は微笑んだ。
「ひっ……」
 自分の知っているヴィーナスではない。つい先程まで、冗談を飛ばしあいながらも戦士としての使命を共有しながら蜂人間と戦っていたはずの仲間ではない。自分が先程まで戦っていた蜂人間そのものではないか。
「ふふふふぅ」
 この一瞬でどうして変わってしまえるのかマーズには解らなかった。だが、今のこの状況ははっきり言って絶望的だ。獲物を見るような目つきで、ヴィーナスはマーズを眺めている。その汗と蜂蜜で濡れた身体にその手を添えると、くんくんと匂いを嗅ぐ。
「うはぁ……良い、匂いぃ」
「ヴィーナス……お願い、やめて……」
 その哀願に、ヴィーナスは首をかしげた。
「ヴィー……ナスぅ?」

 何も知らないといった表情だ。嘘を言っている様では決して無い。
「何をする、気……」
 説得を諦め、自分がこれからどうなるのか、聞いてどうなるわけでもないのにマーズは思わず問いかけた。少しでも時間稼ぎをしなければならないからか、はたまた、この無邪気な表情に恐怖を感じたのかは解らなかった。
「気持ち良い事を……いっぱい、い〜〜っぱいしてぇ、それでぇ、あなたも私達の仲間にしてあげるのぉ」
 ヴィーナスの声で、舌足らずな口調で、甘ったるく語る蜂人間。
「そんな事……やめ、なさい……ッ」
 キッと蜂人間を睨みつけるが、全く効果が無かった。それどころか、そのおぞましい尻尾の先端に生える生殖器のような針が、ビンビンに漲ってきている。
「あはぁ! 良いわぁその顔ぉ」
 薄いレオタード生地。秘所の部分を覆うそれを、蜂人間は丁寧にずらす。
「ひゃっ……ッ」
 他人に触れられることの無い箇所。中ではないにせよ、その感触はマーズにとってはとてもくすぐったいものだった。
「最初は痛いけど、すぐに気持ちよくなっちゃうからぁ」
 自らの針に、蜂蜜を塗りつけながら蜂人間は言うと、身動きの取れないマーズの秘所の外側にそれを押し当て、蜂蜜を塗りつける。
「ひぅっ」
 グリグリと、優しく動かしながら、マーズの反応を蜂人間は楽しんでいた。ビクッビクッと、身体がくすぐったさに痙攣しているのが針から伝わるのだ。
「準備は、いい?」
「お願、い……や、やめ――」
 蜂人間は突き刺した。
「いひぃっ!!」